
スタッフ株式会社|技術コラム
PFASフリー × 潤滑油不要
法令対応も安心の次世代トルクヒンジ
設計・調達ご担当者さまへ ── 最新PFAS規制と国内の水質問題を踏まえ、
グリスレストルクヒンジの実務メリットをわかりやすく解説します。
本記事についてのご注意
当社はヒンジメーカーであり、法規制の専門機関ではありません。本記事中の規制情報は、各国所管機関(環境省、ECHA、EPA等)の公開資料に基づき、2026年2月時点で当社が確認した内容を要約したものです。規制の解釈・適用の判断には、必ず原文や専門家にご確認ください。
目次
1. PFASとは何か ── なぜ今、部品設計者が知るべきなのか
2. 日本国内で関心が高まるPFAS ── 水道汚染から製造現場へ
3. 世界で進むPFAS規制 ── 2026年の主な動き
4. フッ素系グリスとPFASの関係 ── 製造現場への影響
5. グリスレストルクヒンジの技術メリット
6. 製品仕様と選定ガイド
7. 想定される採用シーン
8. グリスレスヒンジへの切替ステップ
9. よくあるご質問(FAQ)
10. まとめ
1. PFASとは何か ── なぜ今、部品設計者が知るべきなのか
1‑1. PFASの定義
PFAS(ピーファス)は、ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(Per‑ and Polyfluoroalkyl Substances)の総称です。2021年にOECDが改訂した定義では、「少なくとも1つの完全にフッ素化されたメチル基(‑CF3)またはメチレン基(‑CF2‑)を含む物質」とされ、その数は10,000種以上にのぼります(OECD 2021)。
炭素‑フッ素結合は有機化学で最も強い結合の一つであり、PFASは熱・薬品・紫外線に対して極めて安定です。この耐久性ゆえに撥水剤・潤滑油・コーティング材など幅広い工業用途で重用されてきましたが、同時に自然環境中でほとんど分解されないという深刻な問題を抱えています。この性質から、PFASは「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」と呼ばれています。
| 物質名 | 略称 | 主な用途例 | ヒンジとの関連 |
|---|---|---|---|
| ペルフルオロオクタンスルホン酸 | PFOS | 消火薬剤、メッキ用ミスト抑制剤 | メッキ処理工程で使用される場合あり |
| ペルフルオロオクタン酸 | PFOA | フッ素樹脂製造の助剤、撥水加工 | PTFE製造時の残留物として微量含有の可能性 |
| ペルフルオロヘキサンスルホン酸 | PFHxS | 撥水剤、エッチング剤、メッキ処理剤 | 化審法で2026年6月に輸入禁止(環境省) |
| ペルフルオロポリエーテル | PFPE | フッ素系グリスの基油 | トルクヒンジの潤滑に広く使用 |
| ポリテトラフルオロエチレン | PTFE | フッ素系グリスの固体添加剤、潤滑メッキ | トルクヒンジの潤滑・摺動部に広く使用 |
※ PFPE・PTFEはOECDのPFAS定義に該当し、EU REACH包括制限案でも規制対象に含まれています(ECHA 2025/08、OECD PFPEレポート 2024)。
1‑2. PFASが人体に入るとどうなるのか
PFASは体内で分解されにくく、血中に数年〜数十年残留します。飲料水・食品・室内のほこり等を通じて人体に蓄積し、以下の健康影響が報告されています。
| 懸念される健康影響 | 概要 |
|---|---|
| 発がん性 | 2023年11月、IARC(国際がん研究機関)はPFOAを「ヒトに対して発がん性あり(Group 1)」、PFOSを「発がん性の可能性あり(Group 2B)」と分類。腎臓がん・精巣がんとの関連が指摘されている。(IARC 2023/12) |
| 免疫機能の低下 | ワクチン接種後の抗体応答が低下するなど、免疫系への影響が複数の研究で報告されている。(米国ATSDR) |
| 甲状腺機能への影響 | 甲状腺ホルモンの産生・調節に干渉し、甲状腺疾患リスクを高める可能性。(eClinicalMedicine 2023) |
| 肝機能障害・脂質異常 | コレステロール値の上昇、肝毒性が動物実験・疫学研究の双方で確認されている。(PMC レビュー論文) |
| 生殖・発達への影響 | 胎児の低体重、生殖機能への影響が一部の研究で報告されている。(環境省 PFASハンドブック 2025) |
※ 健康影響の多くは高濃度・長期曝露の条件下での報告であり、食品安全委員会は「確定的知見は限定的」としています(環境省 PFASハンドブック)。ただし予防原則に基づき、世界各国で規制が強化されています。
1‑3. ヒンジをPFASフリーにすることで、何が変わるのか
率直に言えば、ヒンジから直接PFASが人体に大量摂取されるリスクは、飲料水や食品包装と比べれば限定的です。しかし、PFASフリー部品を選定することには、それとは異なる実務上の大きな意味があります。
| 得られる安心 | 具体的な場面 | |
|---|---|---|
| 1 | 規制変更への耐性 | PFAS規制は現在進行形で拡大中。部品にPFASが含まれなければ、規制変更のたびに含有調査や代替品探索を行う必要がなく、設計変更リスクをゼロにできる。 |
| 2 | サプライチェーン監査の簡素化 | 完成品メーカーから部品単位でのPFAS含有確認を求められるケースが増加。ステンレス無垢材+グリスレス構造なら「構造上PFASを使用しない」と即答でき、調査・回答の工数を大幅に削減。 |
| 3 | 製品の市場アクセス維持 | 医療機器・食品製造装置・分析機器など、発注仕様に「PFASフリー」を明記する動きが始まっている。部品レベルで対応することで、成長市場への参入・継続供給を確保。 |
| 4 | エンドユーザーへの説明責任 | 水道水問題を機にPFASへの社会的関心が急上昇。最終製品メーカーが「PFASを含む部品を使用していない」と説明できることは、ブランドの信頼性に直結する。 |
| 5 | 廃棄・リサイクル時のリスク回避 | PFASは焼却しても分解しにくい。PFASフリー部品なら製品ライフサイクル全体で環境負荷を低減でき、サーキュラーエコノミーの要請にも対応。 |
まとめると ── PFASフリーヒンジを選ぶことは、「有害物質が出ない」という直接的な安全性に加え、規制対応コストの削減、調達リスクの排除、市場アクセスの維持、エンドユーザーの信頼獲得という事業全体のリスクマネジメントにつながります。過剰な不安を煽る必要はありません。「PFASの問題を正しく理解し、部品選定の段階から手を打っている」── その事実こそが、御社の製品と企業姿勢に対する最大の安心材料です。
次のセクションでは、こうした健康影響と規制強化の背景を受けて、日本国内でPFASへの関心がどのように高まっているかを見ていきます。
2. 日本国内で関心が高まるPFAS ── 水道汚染から製造現場へ
2-1. 相次ぐ水道水からのPFAS検出
PFASが日本で大きな社会問題となったきっかけのひとつが、各地の水道水や地下水からのPFOS・PFOAの検出です。
| 全国調査(2025年12月) | 吉備中央町の事例(2023年10月) | 河川・地下水(2025年4月) |
|---|---|---|
| 上水道等で新たに5事業が暫定目標値(PFOS+PFOA 50 ng/L)を超過。いずれも対応措置済み。 出典:朝日新聞デジタル, 2025年12月25日公開|日本経済新聞, 2025年12月 |
円城浄水場でPFOA 1,400 ng/Lを検出(暫定目標値の28倍)。 原因:水源付近に保管された使用済み活性炭。 現在:町内全浄水場で目標値を下回り安全を確認。 出典:吉備中央町公式サイト|同町, 全浄水場測定結果|朝日新聞デジタル |
全国22都府県・242地点で暫定指針値を超過。 出典:環境省2025年4月発表に基づくまとめ|47NEWS(共同通信), 2025年4月25日 |
📌 2026年4月1日 ── 水道法改正で検査義務化
| 対象物質 | PFOS + PFOA(合算値) |
| 基準値 | 50 ng/L(= 0.00005 mg/L)── 暫定目標値から正式な水質基準に格上げ |
| 検査頻度 | 水道事業者に3か月に1回の定期検査を義務化 |
| 根拠 | 環境省プレスリリース, 2025年6月30日|日本経済新聞, 2025年2月7日 |
2-2. 水道から製品へ ── 規制の波は製造業にも
「水道水の問題なら、製造業には直接関係ないのでは?」と思われるかもしれません。しかし実際には、PFASへの社会的な関心の高まりと各国の規制強化は、水道 → 環境 → 製品という流れで製造現場にも確実に波及しています。
| STEP 1 水道水・飲料水 PFOS・PFOAの検出 → 基準義務化(2026年4月) 社会的関心が急速に拡大 ▼ |
→ | STEP 2 消費者製品 化粧品・食品包装・衣料品の PFAS規制が各国で施行 サプライチェーン管理が拡大 ▼ |
→ | STEP 3 工業製品・部品 グリス・コーティング剤・ 摺動部品のPFAS含有管理 ◀ いまここに波及中 |
セクション1で触れたとおり、工業用グリスに使われるPFPEやPTFEも「PFAS」の一種です(参照:OECD, "Synthesis Report on Understanding PFPEs," 2024年)。EUでは水道水規制の対象であるPFOS・PFOAだけでなく、ECHA, PFAS包括制限案(改訂版), 2025年8月20日のように、PFAS全体を包括的に規制する動きが進んでおり、これまで規制対象外だったフッ素系グリスも将来的に制限される可能性があります。
3. 世界で進むPFAS規制 ── 2026年の主な動き
2026年は、欧州・北米・日本・国際条約のPFAS規制が同時多発的に発効・進行する年です。下表では、各規制がヒンジ部品に与える影響度を3段階で示しています。
| 🔴 | 直接影響 ── フッ素系グリスやPFAS含有部材の使用・調達に直接関わる |
| 🟠 | 間接影響 ── サプライチェーンや報告義務を通じて波及しうる |
| ⚪ | 背景情報 ── ヒンジ完成品への直接規制ではないが、製造業全体のPFAS管理意識を高める動き |
PFAS規制がヒンジ部品に影響する「3つの層」
| 層 | 影響ポイント | 一般的なリスク | 当社グリスレストルクヒンジ |
|---|---|---|---|
| ❶ | 潤滑油(グリス) | PFPE基油やPTFE添加剤を使用するフッ素系グリスはPFASに該当(OECD 2021)。EU REACH包括制限案で潤滑剤セクターが規制対象(CECE 2025/10)。 | ✔ 該当なし グリスを一切使用しない構造 |
| ❷ | 表面処理(メッキ・エッチング) | クロムメッキのミスト抑制剤やPTFE複合メッキにPFASが使用されるケースあり(日本バルブ工業会 2023/05)。化審法改正でPFHxS含有のエッチング剤・メッキ処理剤が輸入禁止に(環境省 2025/12/12)。 | ✔ 該当なし ステンレス無垢材のまま使用。メッキ・エッチング処理なし |
| ❸ | 素材(コーティング・撥水処理) | 撥水・撥油コーティングにPFAS系薬剤が使われる場合がある。各国で繊維・皮革等の撥水処理品が規制対象に。 | ✔ 該当なし ステンレス鋼はPFASフリー素材 |
当社のグリスレストルクヒンジは、3つの層すべてでPFAS不使用。追加対応なしで各国規制に適合します。
| 影響 | 時期 | 地域 | 規制の概要 | ヒンジへの影響ポイント | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| ⚪ | 1月1日 | フランス | 法律 No.2025‑188 施行。化粧品・衣服・靴へのPFAS使用を禁止。 | 工業用機構部品は対象外。消費財分野でのPFAS忌避が広がる背景。 | SGS 2026/01 | CosLaw |
| ⚪ | 1月1日 | 米国(ME/VT) | メイン州 LD 1537:調理器具・化粧品等のPFAS禁止(2030年に全製品拡大)。バーモント州:化粧品・衛生用品のPFAS禁止。 | 工業部品は現時点で対象外。2030年メイン州全面禁止に向け早期対応が有利。 | ME 議会 | VT AG |
| 🔴 | 3月〜 (RAC/SEAC意見採択) |
EU | REACH 包括的PFAS制限案。10,000種超を対象。潤滑剤セクターは5年間の猶予、機械分野は13.5年の猶予が提案中。PFPE・PTFEもPFAS定義に含まれる。 | フッ素系グリスを使用するヒンジは規制対象。当社製品はグリスレス+ステンレス無垢材のため、潤滑層❶・表面処理層❷とも該当なし。 | ECHA 2026春 | ECHA 更新案 | CECE 解説 |
| ⚪ | 4月1日 | 日本 | 改正水道法施行。PFOS+PFOA ≤ 50 ng/L を水質基準に格上げ、3か月に1回の検査を義務化。 | ヒンジへの直接規制ではないが、社会全体の「PFASフリー」志向を加速。 | 環境省 2025/06/30 | 日本経済新聞 |
| 🟠 | 4月10日〜 | EU | REACH Annex XVII(Reg 2024/2462)。PFHxA ≤ 25 ppb(個別)/ 250 ppb(合計)。4月:消火薬剤、10月:繊維・皮革等へ段階適用。 | 取引先の調達基準厳格化を通じて間接的に影響しうる。当社製品はPFAS不使用のため該当なし。 | ECHA PFAS | TÜV SÜD |
| 🟠 | 4月13日〜10月13日 | 米国 | EPA TSCA §8(a)(7)。PFAS製造・輸入者に報告義務(小規模は2027年10月まで)。 | PFAS含有部品の輸出入で報告対象となりうる。当社製品はPFAS不使用のため報告不要。 | EPA |
| 🟠 | 6月17日 | 日本 | 化審法施行令改正。PFHxS関連117物質を第一種特定化学物質に追加、製造・輸入原則禁止。輸入禁止10製品に「金属加工用エッチング剤」「メッキ用表面処理剤」を含む。 | メッキ処理やエッチング加工を行うヒンジの場合、薬剤調達に影響。当社製品はステンレス無垢材を使用し、メッキ・エッチング処理を行わないため該当なし。 | 環境省 2025/12/12 | ボーケン 2025/12 |
| ⚪ | 7月1日 | 米国(CT) | Public Act 24‑59。衣服・調理器具・化粧品等にPFAS表示義務。 | 工業部品への直接適用なし。消費者の「PFAS表示」意識が製造仕様に波及する可能性。 | CT DEEP |
| 🟠 | 8月12日 | EU | 包装・包装廃棄物規則(PPWR)。食品接触包装のPFAS上限 ≤ 25 ppb / 250 ppb / 50 ppm。 | 食品装置向けヒンジでPFASフリー証明を求められる場面あり。当社製品はステンレス無垢+グリスレスのため対応済み。 | Certivo |
| ⚪ | 10月23日 | EU | Regulation 2025/1988。PFAS含有消火薬剤の上市禁止。 | ヒンジへの直接影響なし。PFAS排除が全分野に拡大する象徴的規制。 | CWS |
| 🟠 | 12月16日 | 国際 | ストックホルム条約。長鎖PFCA(C9–C21)を附属書Aに追加、締約国に段階的廃絶を義務付け。 | フッ素系グリスの不純物として含有の可能性あり。当社製品はグリスレス+ステンレス無垢のため該当なし。 | POPs条約 | OECD PFPEレポート |
ステンレス無垢材 × グリスレス = PFAS規制の影響ゼロ
PFAS規制がヒンジ部品に影響するルートは、❶ 潤滑油(グリス)、❷ 表面処理(メッキ・エッチング)、❸ 素材(コーティング)の3つです。
一般的なトルクヒンジではフッ素系グリス(PFPE/PTFE)が使われ、EU REACH包括制限案(🔴)で直接規制される見込みです。さらに、クロムメッキや潤滑メッキを施す製品は、メッキ薬剤中のPFAS(ミスト抑制剤・分散剤)が化審法 PFHxS規制(🟠)の影響を受けます(日本バルブ工業会 2023/05)。
当社のグリスレストルクヒンジは、ステンレス鋼の無垢材をそのまま使用しており、メッキ・エッチング処理を行いません。ステンレス鋼自体はPFASを含まない素材です。潤滑油も一切不使用であるため、3つの影響ルートすべてに該当せず、上表11件の規制すべてに対して追加対応なしで適合します。
4. フッ素系グリスとPFASの関係 ── 製造現場への影響
従来のトルクヒンジの多くは、摺動面にフッ素系グリス(PFPE基油+PTFE増稠剤)を塗布して適切なトルク特性を得ています。しかし、セクション1・3で整理したとおり、PFPEもPTFEもOECDの定義上「PFAS」に該当します(参照:OECD, "PFAS and Alternatives in Hydraulic Oils and Lubricants," 2025年6月、デンマーク環境庁, 2024年1月)。
EU REACH包括制限案では「潤滑剤」が14の評価対象セクターのひとつとして明記されており(参照:ECHA, 改訂版PFAS制限案, 2025年8月20日)、今後の規制進展によっては、フッ素系グリスを使用するヒンジのEU域内販売が制限される可能性があります。
このため、規制の確定を待たずに「そもそもグリスを使わない」構造を選択することが、もっとも確実なリスク回避策となります。
5. グリスレストルクヒンジの技術メリット
| 1. クリーン動作 | 2. 高トルク&フリーストップ | 3. メンテナンスフリー&PFASフリー |
|---|---|---|
| 油の滲み出し(ブリード)ゼロ。金属粉の発生もなく、クリーン環境を汚しません。 | 0.5〜4 N·mの高トルクで、重量のある蓋やパネルを任意の角度で保持(フリーストップ)。スムーズで滑らかな開閉動作を実現します。 | フッ素系グリスを一切使用しないため、PFASフリー。グリス劣化による経年変化がなく、メンテナンス工数を削減できます。 |
6. 製品仕様と選定ガイド
6-1. 基本仕様
| トルク範囲 | 0.5〜4 N·m |
|---|---|
| サイズ展開 | Φ12 / Φ16 / Φ19(カスタム対応可) |
| 材質 | ステンレス鋼(無垢材・メッキなし) |
| 潤滑 | グリスレス(フッ素系グリス不使用) |
| 動作 | フリーストップ(任意角度保持) |
| ブラケット | カスタム設計対応 |
| 環境適合 | RoHS適合 |
6-2. 従来型グリスヒンジとの比較
| 比較項目 | 従来型(フッ素系グリス使用) | グリスレストルクヒンジ |
|---|---|---|
| PFASリスク | PFPE/PTFEがPFASに該当。規制で使用制限の可能性。 | PFASフリー。規制リスクなし。 |
| 油の滲み出し | 経年劣化・温度変化でブリード発生リスク。 | 潤滑油不使用でブリードゼロ。 |
| 金属粉 | 摺動摩耗で発生する場合あり。 | 独自摺動構造で発生を抑制。 |
| メンテナンス | グリス補充・再塗布が必要な場合あり。 | メンテナンスフリー。 |
| 調達安定性 | 規制でグリス供給が不安定化するリスク。 | 潤滑剤に依存せず安定調達。 |
| 証明書類 | PFAS非含有証明・データ報告が必要になる場合あり。 | PFASフリーで書類対応が容易。RoHS証明書発行可。 |
7. 想定される採用シーン
| 医療機器 | 検体分析装置・手術台カバー・ベッドサイドモニターなど。油の滲み出しや金属粉が許されない環境に。 |
|---|---|
| 食品製造装置 | 充填機・検査装置のカバーなど。EU PPWR対応で「PFASが食品接触面に移行しないこと」が求められる現場に。 |
| 分析・計測機器 | 質量分析装置・クロマトグラフのメンテナンスパネルなど。微量汚染を嫌う精密環境に。 |
| クリーンルーム機器 | 半導体製造装置の扉・パネルなど。パーティクル管理が必須の環境に。 |
8. グリスレスヒンジへの切替ステップ
| STEP 1 お問い合わせ& 現状ヒアリング 現在のヒンジ仕様・使用環境・必要トルクを確認 |
→ | STEP 2 ご提案& カスタム設計 最適なサイズ・トルク・ブラケット形状をご提案 |
→ | STEP 3 サンプル評価& 量産 サンプルでご評価後、量産移行。RoHS証明書発行可。 |
9. よくあるご質問(FAQ)
| Q1. 「PFASフリー」とは具体的に何を指しますか? | 当製品では、PFPE・PTFE等のフッ素系グリス(潤滑剤)を一切使用していないことを指します。OECDの2021年定義(参照:OECD, PFAS用語定義レポート)において、PFPE・PTFEはいずれもPFASに分類されます。 |
|---|---|
| Q2. グリスなしで摩耗や異音は発生しませんか? | 独自の摺動構造を採用しており、グリスなしでもスムーズな動作と高い耐久性を実現しています。金属粉の発生も抑制されています。 |
| Q3. フリーストップ(任意角度保持)は可能ですか? | はい。0.5〜4 N·mの範囲で、重量のある蓋やパネルを任意の角度で確実に保持できます。 |
| Q4. 標準サイズ以外の対応はできますか? | Φ12/Φ16/Φ19の標準サイズ以外にも、カスタム対応が可能です。ブラケット形状の設計もご相談いただけます。 |
| Q5. 既存のグリスヒンジからの置き換えは容易ですか? | 取付寸法の調整が必要な場合がありますが、STEP 1のヒアリングで現行仕様を確認し、最適な置き換え方法をご提案します。 |
| Q6. RoHS・REACH関連の書類は取得できますか? | RoHS適合証明書の発行が可能です。REACH関連のお問い合わせにも対応しております。 |
| Q7. PFASとPFOS・PFOAは何が違うのですか? | PFASは10,000種以上の有機フッ素化合物の総称で、PFOS・PFOAはその中の代表的な物質です。詳しくはセクション1の分類表をご覧ください。 |
10. まとめ
2026年はPFAS規制が世界規模で同時に動く転換期です。日本では水道法改正(4月)と化審法PFHxS追加(6月)、EUではREACH包括制限の意見採択(3月)・PPWR食品包装規制(8月)・消火器規制(10月)、国際的にはストックホルム条約のLC-PFCA発効(12月)と、切れ目なく規制が重なります。
水道水で問題となるPFOS・PFOAも、工業用グリスに使われるPFPE・PTFEも、同じPFASファミリーです。規制は「水道」から「消費者製品」を経て「工業部品」へと波及しつつあり、ヒンジのようなコンポーネントレベルでもPFAS含有管理が求められる時代が近づいています。
グリスレストルクヒンジは、ステンレス無垢材+グリスレス構造により、3つのPFAS影響ルート(潤滑油・表面処理・素材)すべてに該当せず、これらの規制リスクを根本から回避します。クリーンな動作環境、高トルク・フリーストップ機能、メンテナンスフリーという実用性と、PFASフリーという規制適合性を両立する製品です。
規制が確定してからの対応では、代替部品の評価・認定に時間がかかり、供給リスクが生じます。規制確定前の今こそ、グリスレスへの切り替えを検討する最適なタイミングです。
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